デザインのセンスって何?センスの良し悪しの判断の具体的ポイント

センスがいいとか、悪いとかっていったい何でしょう?

デザインセンスって本当に重要なの?

センスが良いってどういうこと?

デザインを判断する時に、センスがいいとか、センスが悪いって言葉をよく使っているのを聞いたことはありませんか?

デザインのことを知らない人でも、「センスの良し悪し」について、コメントをしているシーンをよく見かけますが、一体センスって何を指しているのでしょうか?

この記事では、

  • デザインセンスとは何か
  • センスの良し悪しの判断基準
  • デザインセンスを磨きたい人がやるべきこと
  • センスの良いデザインをつくるために気をつけるべきこと

についてまとめました。

デザインセンスで悩んでいる人の参考になれば嬉しいです。

デザインセンスとは何か

センスは日本語では、感性と言われ、英語のsensibilityにあたります。

これを広辞苑で調べてみると、

感受性、感覚によって呼び起こされ、それによって支配される感覚的欲望、理性、意志によって制御されるべき感覚的欲望。
思惟の素材となる感覚的認識。

出典:広辞苑

と書かれています。

感覚を葡萄に例えると、「たくさんの葡萄がなっている状態」が脳内にあって、それを見てさまざまな妄想しているようなイメージです。

ちょっとわかりにくいでしょうか?

センスをつくる材料は、さまざまな脳内にストックされた情報です。

デザインを通してできあがったものは、たくさんの情報から、何らかの文脈を持って抽出された感覚の集まりです。

もしワインという文脈があれば、

「たくさんある葡萄の中からどの葡萄を選んでワインを作るか?」

葡萄狩りという文脈なら、

「どの葡萄畑にお客さんを連れていくか?」

みたいな感じです。

料理にぴったりのワインを選べれば、センスがいいと言われる訳ですが、「ぴったり」というのは、

高級料理を引き立てる、料理に見合った高価なワイン選ぶのがいい場合もあるし、

気軽なホームパーティに持っていくコスパの高い万人受けのいいワインを選ぶのか、

女子会の様子を伝えるカジュアルでインスタ映えしそうなワインを選ぶのか?

デザインのセンスは目的やシチュエーションによって変わりますが、少なくてもある程度の情報量がなければ、センスそのものが生まれないのです。

センスの良し悪しの判断基準

センスをつくるうえで必須なのは、脳内に情報をたくさんストックして置くことというのがわかりました。

そしてセンスの良し悪しは、表現の目的、TPOみたいなもので決まります。

ですから、少なくても目的に合っていないデザインは、センスの悪いデザインなのです。

では目的に合っていれば、センスが良いということになるのでしょうか?

それは目的がどういうものかにもよります。

センスは多くの情報の中からアイデアを視点とした軸を設けて、情報を取捨選択し再構成することで生まれます。

情報が十分に揃っているのであれば、新しい視点の設定そのものがセンスになるのです。

だから、デザイナーはたくさんのものに触れてたくさんのストックを自分の脳内に蓄積して、すぐに取り出し可能な状態にしておくことが大前提です。

そしてセンスの良し悪しは、デザインをとりまく状況との関連性で決まります。

さらにセンスを決める決め手の一つとして、最低限の常識(ルール、マナー)を知っていることが挙げられます。

ワインを見たこともない人に、ワインを選んでくれと言っても無理な話だし、高級料理のテーブルマナーを知らない人に夜会のワインを選ばせることは無理があります。

ですから、求める目的に合った世界の常識をデザイナーが身につけていること、身につけていなくてもとりあえずリサーチをするなりして知識を取り込むことは、センスの良いデザインをする上で必要なことなのです。

デザイナーが好奇心旺盛でなければ務まらない理由はこの辺りにもあるのです。

ですからデザイナーが目的に沿ったデザインを行うための知識や常識を知っていることが、センスの良いデザインを実現させるうえで最低限の条件と言えます。

デザインセンスを磨きたい人がやるべきこと

ではどうしたら実際にセンスを磨けるのでしょうか?

いくら情報量を多くっていっても手当たり次第の情報を集めるのはおすすめしません。

ではどんな情報をストックすればデザインセンスを磨くことができるのでしょうか。

造形の基礎知識と表現力は最低条件

まずデザインを行う上で最低限必要な知識は、造形の基礎知識です。

造形の基礎知識は、色、形、構成です。

これらを組み合わせて、さまざまな表現を展開します。

平面のデザインだけでなく、視覚芸術全般、空間や立体のデザインを判断する基本になるので、これが身についているかどうかで応用力に差が出ます。

この知識をもとに、自分のデザインの分野の表現力、技術を磨いていきます。

グラフィックや情報のデザインでは、文字や写真、イラストレーションなどの知識と扱い方を、制作まで行う場合はイラストレーターやフォトショップなどの制作用アプリのスキル習得も必要になります。

必須項目:デザインするトピックの背景

デザインにおいて一番重要なのは目的に沿ったデザインをすることです。

ですので、本来はデザインするものについての入念なリサーチと情報収集、そして背景や由来などを知っていることが必須です。

これらがわからないと目的について把握できないからです。

しかし実際にここを理解できているデザイナーが少ないのが現状です。

デザイナーの仕事は多岐にわたるため、デザインの内容にまで手が回らないかもしれませんが、同時に制作寄りのポジションを好むデザイナーが多いように感じます。

たしかにデザイナーは守備範囲が広いので、ディレクション寄りか制作寄りかによっても必要な知識は異なります。

制作寄りのデザイナーは細かなニーズがあり重宝されますが、常に新しい技術を磨かなければならないので、悪い言い方ですが、「使い捨て」にされることが多いです。

新しい技術の習得は、常に若い世代の方がレベルが上だからです。

制作は若い世代に譲って、クライアントへの理解を深めてクライアントには実現しきれない、「目的をビジュアルに落とし込むための知識」をしっかり身につけることは信頼できるデザイナーになるためにとても大事なことなのです。

最初は自分の好奇心のままに情報収集する習慣を持つと良いでしょう。

あなたの視点は、あなたの独自性になります。

そして、より深くセンスの良い価値のあるデザインのためには、一つのトピックに対して現状把握と周辺情報を加えていくことです。

周辺情報は、文化的背景と歴史的背景(縦軸、横軸の二軸で考える)が基本です。

実際のプロジェクトで考えると次のようになります。

例えば、化粧品会社A社の仕事をすることになったとします。

A社の会社情報、ライバル会社の情報、化粧品業界の情報に加えて、文化的背景と歴史的背景まで知っておけばかなりの情報になります。

これらの情報は、細かい数値などを正確に把握する必要はありません。

時代背景や社会現象に対してその会社が打ち出した商品やサービスについて、パッケージやグラフィックなどの視覚情報や概要を把握しておけば良いのです。

真の姿はクライアントしか知らないことですので、直接打ち合わせで聞いた方が、素直に情報を受け取ることができてスマートです。

センスの良いデザインをつくるために気をつけるべきこと

これまでに見てきたように、デザインセンスをつくるために必要な準備は情報量のストックです。

ストックする情報は、

  • 造形の基礎知識と表現スキル
  • 自分独自の視点で集めた情報
  • 一つのトピックについての周辺知識

を集めていくと、深みのある情報収集が行えることがわかりました。

さらに突っ込んでセンスの良いデザインをつくるためには、センスを測る指標についてを理解する必要があります。

自分独自の視点で情報を集めていくと、自分の持つ世界観のようなものが見えてきます。

趣味が明確な人は、その趣味を深掘りしていくことで、そのジャンルの周辺知識が膨大に集まるので、そのジャンルのデザインを担当すると、とても喜ばれそうです。

深掘りすると同時に、他のジャンルに関心を持つことも忘れてはいけません。

一つのジャンルで、常識的な表現の把握(文化、時代、民族、慣習)タブー、エチケット、マナーまでしっかり押さえておくと、他のジャンルの情報を収集したときに、共通点を見つけることができます。

どんなジャンルの情報でも、構成要素はほとんど同じなのです。

自分なりの視点は複数持つことが大事です。

視点という軸=アイデアになります。

視点が多いとはたくさんのアイデアを出せるということなのです。

アイデアがたくさん出せればクライアントに刺さる提案できる可能性は高くなります。

一方、共感性の高い人は、クライアントの視点を読み込んで刺さるデザインをつくることもできると思います。

しかし、誰でもできるのは多くの情報をストックして、多くの視点をつくることですので、そこを忘れないようにしてください。


情報収集をしていると気づくことですが、過去に起こった出来事や流れは、繰り返されます。

未来でも似たような出来事に遭遇する可能性が高いのです。

ですので、最初のうちの情報取集はジャンルを絞って集中して行うのがおすすめです。

情報収集の仕方はできるだけ五感をフル稼働させることです。

ネットからの情報だけでは、視覚と聴覚しか使わないので偏りすぎだし情報量が少なすぎるのです。

リアルな体験が一番記憶にも残りやすいのです。

センスを磨くとは

  1. インプットを増やす(広げて)
  2. 選別する(絞る)

の二工程です。

インプットとは感覚のデータベースを大きくすると捉えてください。

よくデザイナーは引き出しをたくさん持つと良いとか言われますが、これは良いセンスを生み出すため始めの一歩に相当します。

最近は、ミニマリストなデザイナーも増えています。

ミニマリストは、②の選別力が鍛えられるのですが、それで満足してしまうと引き出しが増えません。

できるだけ意識して幅広く好奇心を持つように心がけると、ミニマリストならではの応用力がさらなる強みになります。

情報を脳内にキープする方法は、必ずしも有形にしてストックする必要はないということも付け加えておきます。

まとめ

この記事では、デザインセンスとは何か?また、センスの良いデザインをつくるための情報収集のコツについてまとめました。

今まで漠然と捉えていた「センスが良い」という言葉の意味がなんとなく明確になったでしょうか?

情報量を増やして、独自の視点を育てること、そして、何事も好奇心を持って試してみることが良いセンスを生み出す方法です。

独自の情報をたくさんストックするために、とにかく好き嫌いを無くしていろいろやって、遊び心を育てていきましょう!

最後までお読みいただきありがとうございました。

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