最近、InstagramやPinterestなどで、カリグラフィーを見かけることが増えたように思います。
カリグラフィーで書かれた作品やカードを見ると、大概かわいいイラストがあしらわれていて、素敵だなって思いませんか?
一見すると、難しいそうに感じるかもしれませんが、合わせ方のコツを覚えておくだけでも、見違えるほど素敵なデザインになるんですよ!
この記事では、
- カリグラフィーでよく使われる模様や装飾の種類
- カリグラフィーとイラストの合わせ方のコツ
- カリグラフィーに添えるイラストの描き方
についてまとめました。
カリグラフィーのカードや作品を見て楽しんだり、ちょっとした作品を創る時の参考にされてください!
カリグラフィーでよく使われる模様や装飾の種類
カリグラフィーとひとくちに言ってもその書体数は、かなりの数になります。
1文字1文字を手で書き写していた写本のページには、さまざまなイラスト(細密画)や装飾(イルミネーション)の模様が残されています。
これら、写本の中に登場するモチーフや装飾のパターンは、少しづつスタイルを変えて現代のカリグラフィー作品にも使われています。
よく使われる代表的なものには、次のようなものがあります。
- 主にアカンサスという植物をベースに描かれた曲線的な流れが美しい植物模様
- 渦巻きや組紐、グリッドなどを使った幾何学模様
- 単色で細い線を使って即興で描くフィリグリー模様
- 金箔や金粉などの金を使い、磨くなどして輝きを与えるギルディング技法
- カリグラフィーを書くペン先で描くカデル
- カリグラフィーを書く尖ったペン先で曲線の飾りを描くフローリッシュ
他にも、時代や地域によって独特な飾りがあります。
カリグラフィーとイラストの合わせ方のコツ
ある時代に、ある特定の地域で一つのスタイルが完成するというのが、カリグラフィーとイラストレーションの関係性のイメージです。
もちろん、違う地域や時代のものが少しづつ混ざり合って、バリエーションも多数存在しますが、上で紹介した装飾模様を実際にどのように文字と組み合わせて使っているのかをご紹介します。
古い写本や文献、グリーティングカードなど、参考になりそうな作品をネットで見つけることができますので、作品を見るときのコツを押さえておきましょう!
イニシャル文字を飾る
カリグラフィーでは、文章の頭(イニシャル)を目立たせるために、飾りを入れることが多いです。
文字の周りを四角く囲み、その範囲内にイラストや飾りを入れるのは、最もポピュラーで機能的な飾り方です。
イニシャル文字は、下絵を作ってデザインを考えるので、カリグラフィーではなく、レタリングと言います。
イニシャル文字(文頭の1文字)のみの作品というのも、良いですね!
上の画像のようなイニシャルの中にイラスト(細密画)を組み合わせたり、文章をカリグラフィーで書いて、一つの作品として仕上げるのは、鉄板の手法なのでぜひ覚えておきたいですね!
「illuminated letters」などで画像検索をすると、様々な装飾が施されたイニシャル文字が見つかりますので、ぜひ参考にされてください。
良さそうな作品を見つけたら、次のようなやり方でアレンジしてみてください!
- 色を変える→紙の色や絵の具の色を変えるだけでも、印象を大きく変えることができます。
- 画材を変える→インクや水彩絵の具を使って、モダンで軽い感じにするとか、鉛筆のような画材でラフに飾ってみるとかでも、印象を変えることができます。
- モチーフを変える→サンプルで鳥の絵が入っているところに、猫の絵を入れてみたり、幾何学柄や植物柄に変えてみるなど。
元のデザインをトレースするなどして、自分で少しアレンジを加えるというのは、初心者でもとても簡単にできる方法です。
美術の世界では、「模写」という方法で、マエストロの技術を盗んだりしながら、習得する方法が一番の上達の秘訣です。
私は、今でもちょっと手の空いた時間に、薄い紙にトレースして色鉛筆で塗り絵にしたりしていますよ。
「模写」は、技術やセンスを磨くことができるので、ぜひやってみてください!
マージンを飾る
少し長めの文章や本のページのようにコラムが立っている場合にはマージンや行間を、また詩や引用句のような短め文章であれば、文字の周囲の空間を、縁取って飾ることができます。
次の画像は、伝統的なマージンの扱いの典型の一つです。
文章が四角く組まれている場合は、枠やマージン部分を囲い、その中にイラストや柄、模様などを描くと、クラシカルな雰囲気を出すことができます。
手紙やカードなどの周囲の枠をこのようなマージンとして縁取って、中に描く柄やイラストを変えるだけでも、大きく印象を変えることができます。
マージン飾りを入れると、デザインが物足りなかったり、スカスカな時に、比較的きちんと見せることができます。
こちらは、「写本装飾」とか「illuminated manuscripts」、「medieval art manuscripts」などで画像検索すると多くの作品を見つけることができます。
これらの作品は、かなり手が込んでいて、そのまま真似ようと思うとかなり難しいかもしれません。
逆を言うと、このクオリティが再現できれば、かなりのレベルに到達したと自信を持って良いと思います。
とは言え、パーツを細分化してとらえることで、デザインのコツをつかむことができますので、これについては、別記事で書きますね!
紙の空間を飾る
マージン飾りは、作品の周囲をしっかりと囲って仕上げるため、少しかたい雰囲気になります。
もっと柔らかく仕上げるためには、中心から周囲に広がるように飾りをつけていくと良いでしょう。
ノート術に例えると、マージン飾りは従来のノート記述で、中心から飾る方法はマインドマップのような印象で捉えていただくとわかりやすいかと思います。
文の間の空間や余白を活かしながら、部分的にイラストや飾りを配していくと、現代的で軽やかなイメージが創れます。
フローリッシュやカデル、フィリグリーのような軽い飾りは、このイメージを引き締めてくれます。
このタイプの飾りは、主に事務書体(日本では筆記体などと呼ばれている書体)の飾りとして多くみられます。
文字を書くペン先と同じペン先で、時間をかけずに素早く飾っていきます。
アメリカのカリグラフィーの作品では、このように時間をかけずに飾っていく方法が多くみられます。
モチーフは花などの植物を使って、ウエディングシーンに出てきそうなイメージのものが多く、自由な曲線が、どちらかというと女性に好まれるスタイルです。
女性同士の集まりやイベントなど、ちょっとしたプレゼントに添えるカードなどにはぴったりですね!
私は、カリグラフィーで書いた原稿を元にクリスマスカードを印刷し、1枚づつ水彩絵具で彩色して送るのですが、なかなか好評です。
カリグラフィーに添えるイラストの描き方
ヨーロッパの伝統に沿ったカリグラフィーに組み合わせるイラストは、ガッシュなどの不透明な画材を使い、きちんと下絵をつくってから描いていく方が、重厚さが出て雰囲気に合います。
写実的イメージや、中世の魔法使いとか出てきそうな世界観のものを目指すなら、気に入ったデザインを見つけてトレースして、描くだけでも素敵なものができます。
もっとモダンな雰囲気にしたいなら、透明水彩やインクを使います。
絵が得意な人なら、水彩画と組み合わせてみましょう。
カラフルで発色の良いインクや透明水彩などを使い、スケッチする感覚で絵も文字も仕上げるスタイルが多いですね。
太めの幅のペン先や、筆や丸ペンなどを使い、一気に描くように、美しい曲線に沿わせるように飾っていくのがコツです。
また、きらきらしたゴールドパウダーのようなものを使ってみたり、紙に筆でざっくりいろをつけたりするだけでも、カッコ良く仕上げることができます。
このように簡単に描けるものについては、描き方やコーディネートのコツなどがInstagramやYouTubeの動画などで、よく見かけることができます。
本もたくさん出ているので、参考にしてみましょう。
まとめ
この記事では、カリグラフィーの装飾の種類やイラストとの合わせ方とそのコツを紹介しました。
- 装飾や模様は時代によっていろいろあるのでヨーロッパの写本を参考に
- イニシャル文字、マージン、空間に装飾やイラストを入れる
- 色や画材を変えると大きく印象を変えることができる
- 伝統的にするか、現代的にするかのイメージを決めてから描く
など、初心者でもできるアイデアとコツを紹介しました。
この記事が、カリグラフィーを始めるきっかけになれば嬉しいです。
最後までお読みいただきありがとうございました。
【参考文献・出典】
* Illuminated Initials in full color – 548 Designs – by Carol Belanger Grafton
** The art of Calligraphy – a practical guide to the skills and techniques – by David Harris
*** The Universal Penman – by George Bickham
**** Everyday watercolor/ Calligraphy styling / Modern Calligraphy
※すべて筆者の蔵書
私が10年以上学んできたカリグラフィースクールについてレビューしています。