基本ルールは使えているのに的確なデザインにならない理由

IT技術の目覚ましい発展で、お金をかけずに誰でも簡単にデザインの制作をできる環境が整いました。

PinterestやInstagramなどでは素敵なデザインがたくさん見れますし、良いデザインと悪いデザインの比較事例を解説している書籍やサイトもあるので、世間一般のデザインレベルは上がっているように感じます。

一方で、ぱっと見では綺麗にまとまって良い雰囲気なのに、クライアントに気に入ってもらえず、ダメ出しが続いたりして、いつまでたってもデザインが決まらないという話もよく耳にします。

実際、私も過去にそういう経験もありました。

デザインの基本を押さえても、いくら経験を積んでも、デザインの良し悪しはクライアントの好み次第と感じたことも多々ありました。

しかし、これまで様々な違った立場からデザインに関わるうえで、

  1. 正しく目的が設定されているか
  2. 目的が達成されるデザインになっているか

の2点の条件が満たされているかどうかが結果が出るデザインなのではないかと考えています。

この記事では、

  • デザインの基本ルールは押さえているのに修正が入る理由
  • それっぽいデザインにひそむ罠
  • 目的とデザインがずれている際の問題点と具体例
  • 目的がイマイチでもデザインする必要がある場合の対処法と注意点

についてまとめました。

ぜひ参考にされてください。

デザインの基本ルールは押さえているのに修正が入る理由

多くのデザインの現場で頭を悩ませるケースがなかなかOKが出ないという問題です。

デザインの仕事にそこそこ慣れて、応用力もある程度ついてきた頃、自信を持ってデザインを提出したのに、まさかのダメ出し!

落ち込んだり、悩んだりしてしまうこともある一方、よく考えてみると、単に振り回されているだけではないか?

と、怒りがこみ上げてきたり…

ダメ出しの理由がわからなかれば、解決策も見つけることができず、ついにはデザインの仕事自体が辛くなってしまいます。

ここで考えられる原因で最も多いのは、提出したデザインがクライアントの目的を達成できていないことです。

クライアントがデザインを見て「なんか違う」という感じた場合、たとえ相手がデザインの素人で知識やセンスがなくても、ほとんどの場合は正しいのです。

ヒアリングで目的を正しく聞き出せていなかったり、相手が自分の求めているものを履き違えるなど、その原因はさまざまですが、結局は目的とデザインが噛み合っていないのです。

ここでやっかいなのは、「違う」ということには気づけても、「これだ!」というものを一つに絞るのは難しいということです。

闇雲に修正して、「違う」といわれた要素を潰したところで、ぴったりのデザインができるわけではないのです。

デザインがボツった時には、その理由をしっかりヒアリングして、その内容とデザインがずれていないか検証する必要があります。

「内容とデザインがずれていない」、つまりデザインのルールが正しく使われている場合は、目的そのものにズレがあると考えてほぼ間違いありません。

それっぽいデザインにひそむ罠

はっきりボツにはならないものの、「なんとなく違う」とか、「なんかしっくりこない」という曖昧な反応の場合もあります。

こうなると、相手からも具体的な言葉が引き出せず、「もうちょっとなんとかならない?」とか、「ここの色変えてみたらどんな感じ?」みたいに、デザインの本質から話がそれてしまいます。

一見綺麗にまとまっていたり、かっこいい感じや、洗練された雰囲気のデザインだと、それを否定することで、「センスを疑われるんじゃないか?」という心理が働きます。

本当は、ちょっと違うんだけど、違うと言えない状況に陥ると、率直なコミュニケーションを邪魔します。

この心理を逆手にとって、自分のセンスをゴリ押しするデザイナーもいますが、自分の能力を上げたいなら、それは避けた方が賢明です。

担当者が上手で、表面的に「いいですねー」とか適当にあしらわれる場合もあるからです。

このような場合、とりあえず採用になっても結局「目的に沿っていない」デザインなので、後でこっそり変えられていたり、二度と依頼が来なかったりということがあります。

相性もあるので仕方ないですが、相手の本心を探る洞察力と同時に、率直なコミュニケーションが取れる状況を作り出すこともデザイナーの仕事です。

相手の反応が曖昧な場合、目的とはまったく合ってないけど、センスが悪いと思われたくないというサインです。

デザイナー側から、「もう少し親しみやすい雰囲気に変えてみましょうか?」などと、ポジティブなワードを使って、場の空気を和らげるような工夫をしてみましょう。

良いデザインのためには、お互いが素直な意見を言い合える環境づくりも大切なのです。

目的とデザインがずれている際の問題点と具体例

では、実際に目的とデザインがずれている場合、どんな問題が発生するのでしょうか?

具体的な事例とともに解説します。

ランディングページなどのデザインでは、訪問者に登録をしてもらうことが主な目的です。

登録をしてもらうためには、ヘッダーや登録ボタンのデザインが重要な役割を果たします。

例えばデザインが目的に沿っていないと次のような問題点が発生します。

  • ヘッダーのイメージが内容と合っていない→不信感につながる
  • キャッチコピーが読みにくい→読んでもらえない
  • 登録ボタンが小さすぎる、色が目立たない、ボタンに見えない形状→クリックしてもらえない

など。

悲しいですね(T_T)

このような売り上げに直接響くようなページのデザインであれば、全体がフラットなデザインで統一されている場合でも、目的に沿って改良すると良いでしょう。

角が尖っているより少し丸い方が、フラットより立体的にした方がクリック率が上がります。

どれも、ボタンのデザインとしては視認性も高く有効ですが、目的に沿って使い分けを意識するとデザインの幅を広げることがでます。


他にも私が最近気になる例をいくつか挙げていきます。

イメージ主体で何だかわからないCM

キャッチコピーなども無く、おしゃれっぽい映像と音楽だけで、最後にアルファベットで社名かブランド名が画面にちらっと映って読み上げておしまい。

少し何のCMかは気になっても、調べるには至らずに名前も覚えていません。

街を歩いていて見かけるお洒落な外観で中が見えないお店

綺麗な書体のロゴタイプの看板で、美容室のようなサロン系か飲食店かがわからないことが多々あります。

立地が商店街や市街地であれば、ネットで集客してるとか隠れ家的に経営しているのではなさそうに見えます。

時折、お客さんが気になって近くに寄ってみるものの、結局通り過ぎていってしまいます。

おそらく、ロゴとか外装のデザインに気を遣っているのでしょう。

ちょっともったいないと感じます。

デザインは綺麗なんだけど充電しにくいMagic Mouse2

美しいデザインのApple製品とは長年のおつきあいで申し訳ないけど…毎日気になっているのが、今も現役で活躍してくれているMagic Mouse2です。

マウスとしての使い勝手は良いのですが、充電の時に裏返しにしないといけないのが難点です。

充電し忘れると悲惨ですが、作業が終わるとコンピューターの電源を落とす習慣があるので、よく充電を忘れがちです。


これらのデザインはいずれも表面的には基本ルールに沿ってデザインされていますが、いずれも本来の目的を忘れてしまっている事例です。

ただ、長くデザインのキャリアを積んでいても、デザインをもっと良くしようとか、修正に追われたりしていると、うっかり忘れてしまいがちなので気をつけたい点でもあります。

目的がイマイチでもデザインする必要がある場合の対処法と注意点

案件によっては、目的そのものがイマイチというケースもあります。

しかし裏を返せば、そもそもパーフェクトな目的など存在しないので、特に新規の案件では、目的の精度を意識しておくことも大切です。

目的の方向性が大きくぶれていないようであれば、デザインを利用して目的に潜む弱点を補うことができます。

デザインならではの強みを発揮して、目的達成に大きく貢献できるので、デザインを担当する立場としては大きなやりがいのある仕事になり得ます。

このようなチャンスをつかむためには、デザイナーでもビジネスやマーケティングの勉強もしておくことが大切です。

自分に合うクライアントの見極めもできて、デザイン力をアップする良い機会も掴むことができます。

一方、目標設定自体が甘かったり、少しずれていると感じられる場合、クライアントと入念な打ち合わせをして、相手と共通の認識を持つことが重要です。

何度もダメ出しになったり、後になってデザインが良くないなどとと言われてしまうのは、事前に共通認識が的確にできていないからです。

そもそも目的の設定が弱ければ、デザインに手を加えたところで子ども騙しのようなもので、それなりの効果は見込めません。

デザインは増幅器のようなもので、目的の方向性が正しくても間違っていても、その印象を広めてしまうのです。

「ちょっと違う」という小さな違和感を持ったまま進めてしまうと、そのズレが浮き彫りになるので注意が必要です。

とは言え、必ずしも常に目的が正しく精査されている案件ばかりではないので、目的の立ち位置を確認し合って、お互いが共通の認識を持ったうえで、仕事にかかるべきです。

認識がずれたままだと、後からトラブルに発展する可能性があるからです。

そして最後に、もうひとつ注意点があります。

クライアントのかかげる目的が明らかにずれているような場合や、相手のビジュアルの好みがはっきりしていて、具体的にデザインの指示をしてくるケースがあります。

これは、本当は自分の好きなようにデザインしたいけど自分ではできないとか、めんどくさいことをお金を払ってやって貰えば良いと思っている可能性が高いです。

「お金さえ払えば何でもやってもらえる」と考えるてしまう人をクライアントにする場合は要注意です。

できれば、断った方が良いでしょう。

どうしても断れないような事情がある場合、制作のみという形で請け負うとか、かかった時間を算出してすべて請求させていただくような提案をしてみるのが無難です。

このようなケースは、契約書をしっかり交わしていても、後日、クレームの対象になるなどして、自らの評判や信頼を落とすことにもつながりかねませんし、なによりお互いのためになりません。

誰でもこのような案件を受けた経験はあるかと思いますが、運悪くこのような案件に当たってしまったら、良い経験をしたと考えて、次回の経験に活かしましょう。

落ち込んだりする必要はありませんよ!

まとめ

この記事では、デザインの基本ルールは押さえているのに何度も修正が入ってしまう理由についてまとめました。

ほとんどの場合は、デザインが目的と合っていないのが、その主な理由です。

目的の確認と共通認識をあわせてから実際の仕事にかかることで、ほとんどは防ぐことができますが、目的自体が間違っていたり、デザイナーにまかせれば何とかなると考えるような他力本願なクライアントは避けるのが無難です。

また、目的を正しく把握するためには、デザインだけできれば良いというわけではなく、ビジネスやマーケティングの知識を身につけることが大切。

そうすると、自分に合った取引相手を見極められたり、デザインのスキルを磨く機会にもつながりますので、どんどん新しい挑戦をして腕を磨いていきましょう!

最後までお読みいただきありがとうございました。

参考になれば嬉しいです。

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